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2006/07/27//Thu.
黒き邂逅
他人の痛みを理解することほど難しいものはない。

例えば友人が風邪をひいたとしよう。高熱にうなされて、お手洗いに行くのも億劫そうだ。食べ物も喉を通さず、体温は40℃近くまで上がっている。その寝顔は安らかなものではなく、あくまでも苦しそうだ。僕はきっと友人を気の毒に思い、同情するだろう。

――だが、それだけだ。

結局のところ、当事者でない僕はその苦しさをちっともわからないのだ。


話は変わるが、人はよく自分に降りかかってきた出来事を大袈裟に伝えたがる。しかし自分にとっての大事件は、得てして他人にとってはどうでもよいことなのである。勝手に騒いで、勝手に落ち込む――所詮、人間はそんな生き物なのかもしれない。


くどい。
結論から言おう。






我が家にゴキブリが出た。






極寒の地で育った僕は、ゴキブリというものを見たことがなかった。もちろん、噂は重ね重ね聞かされていた。あいつらは悪魔だ、恐ろしい、一度出たら夜も眠れない……百害あって一利なし、といったところだ。

大学に入り本州へ上陸した僕。今までの二年間、特に悪いこともせずにおとなしく暮らしていた。夏になると友人達がしきりに言い出す「ヤバイ、ゴキブリがでた」という言葉も、どこか他人事のように聞いていた。

僕は言う。
「マジで? いやあ、俺だったらゴキブリ出たら引っ越すね」
その言葉は他人の痛みを理解しているものではなかった。
油断していたのだ。



正直に言おう。
僕は彼らを我が家で発見した時、あまりの驚きに足が竦んでしまった。額からは気持ちの悪い汗が滲んできて、目にはうっすらと涙が溜まっていた。

いや、嘘だ。
普通に泣いた。



僕は虫全般が苦手で、蛾が一匹部屋に入り込んだだけで涙目になってしまう男の子なのだ。それがどうだろう、見たことのないスピードで歩き回る彼を見て、平静を保つ事ができようか? 無理な注文だ。

僕は泣きながら友人に電話した。


「やべえ、ごきぶりでた」



友人は答えた。


「うへー、おっぱいがいっぱいだよおー」
(キャバクラからの実況中継)





自分にとっての大事件は、得てして他人にとってはどうでもよいことなのだ。



 

↑クリックでごきぶり退治
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