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2007/03/09//Fri.
鼻毛の話
社会生活を営む上でどうしても「言いづらいこと」というものはある。
例えば可愛いアノ娘の前歯に青ノリが付着していたとしよう。とても指摘しづらい。しかしそれ以上に指摘しづらいものがある。それが――鼻毛の脱線事故だ。

僕が二人の女性と話しこんでいた時の話。

その二人の女性は世間一般でいう「可愛らしい」「オシャレな」女の子で、僕はそんな友人たちと、和やかにお喋りをしていた。お互い大学三年生ということもあり、会話の内容は就活や将来のことなど、わりと真面目な話が多かった。各々、最近は就活に勤しんでいるので、互いの苦労話や情報交換で盛り上がっていたのだが、僕には一つ、気がかりなことがあった。


美香ちゃん(仮)の鼻毛が飛び出てたのだ。


美香ちゃんは、いうなればPINKYに出ていてもおかしくない、とても綺麗な女性だ。服装にも気を使っているらしく、アルバイト代はほとんどオシャレのために消えていっているという。性格もおしとやかで、彼女へ求愛する男性は少なくない。


しかし、鼻毛は飛び出ているのだ。


その飛び出した鼻毛は、体全体の割合からすると、わずかに0.01%程度であろう。だが、その存在感は凄まじく、僕の全神経を惹きつけるには十分であった。そのうち、見ている僕が恥ずかしくなってしまい、もう一人の女性である、千春ちゃん(仮)へ話を振った。しかし僕はすぐに、その行為を後悔した。そう、それは悲しみのデフレ・スパイラル。なぜなら――


千春ちゃん(仮)も鼻毛が飛び出ていたからだ。


彼女は将来、化粧品会社へ勤めたいという話をしていた。それもそのはず、千春ちゃんの美容に対する造詣は深く、友人たちにも一目置かれている存在である。男の僕から見ても、素晴らしい知識と技量を持っている。


しかし、鼻毛は飛び出ているのだ。


ばっちりと決まっているメイク。それでいて自然体に見えるのは、千春ちゃんだからこそ成せる業であろう。しかし、一本の毛が、全てを台無しにしているのだ。彼女にはぜひ原点に戻ってもらい、スキンケアの前に、鼻毛のケアをしてほしいものである。


二人の美女、いや、鼻毛に囲まれた僕は、ただただ狼狽していた。このようなことがあってよいのだろうか。いや、決してよいはずはない。麗らかな年頃の女性が、鼻毛など飛び出してはいけないのだ。どう考えても、お互いに気付いているはずであった。飛び出し方が尋常ではない。


お互い、「うわあ、この子、鼻毛がチラリしてるわ」なんて思っているのであろう。
自分もポロリしているのに。


そのうち僕は尿意に襲われ、お手洗いへと足を運んだ。せっせと用事を済ませ、手を洗う。そして目の前にある鏡に目をやった。しかし僕は、目の前に映る自分の顔を見て驚愕した。


僕の鼻毛もロケットダイブしていたのだ。


とても恥ずかしい気持ちになった。結局、全員飛び出していたのだ、鼻毛は。僕はあわてて引っこ抜き、そしてなぜか不思議な気持ちになった。



さっきの会話中、みんな鼻毛のことを考えていたのかなあ、と。



真面目な話の最中も、結局、鼻毛なのだ。
各々の進路よりも、相手の鼻毛が気になっているのだ。

僕が会社に落とされた話をした時、彼女たちは「残念だね」と慰めてくれた。
本当は、僕の鼻毛が「残念だね」だったのではないか。


鼻毛のせいで、僕は人間不信になった。


そう考えると、1.5センチの鼻毛は偉大である。





結論。





鼻毛、かっこ悪い。






 



途中から話が変わったけど、まあいいや。
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